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多様な目的を満たせるニュースタンダードなカフェ『AESTHETIC.』/【SALLiA’s リトリート第43回】
府内町を歩いている時、なぜだかすごく心惹かれるカフェを見つけた。
どうやらまだオープン前で、カフェの前にはひそやかに小さな看板が立っている。
そこには、カフェのインスタグラムとコンセプトが軽く記載されているのみだったが、なぜかすごく心惹かれた私は、思わずスマホを取り出し、その小さな看板を写真に収めたのだった。
その後、カフェは、2024年9月に無事オープンを迎えた。
その名も『AESTHETIC.』。
「美的」という意味を持つ店名だが、海外では「aesthetic cafe」というキーワードがトレンドになっており、それぞれの感性によって良いと思うカフェをそのように形容するのだという。大分にはまだ珍しい欧州風のブランチを提供するカフェだが、その理由についてオーナーさんが、自身の想いとともに語ってくれた。
「僕自身が仕事で行き詰まった時、海外のカフェに行って、リフレッシュするのが好きだったんです。特に影響を受けたのはロンドンのカフェで、若者やご年配の方それぞれが、カフェという同じ空間で、写真を撮ったり、新聞や本を読んだり、仕事をしたり、ぼーっとしたりと、みんな自由に好きなことをしていました。そんな自由な形のカフェのあり方を知り、そしてまたその過程で毎回新鮮な発見もあって、そういった体験を大分でもしていただきたいと思ったのが、『AESTHETIC.』のコンセプトにつながっています」(オーナーさん)
私もカフェに通うのが好きで、よく利用するのだが、ネックとなるのが、ネットでも度々話題となっている”コーヒー一杯で、一時間以上カフェに居座ると非常識”という暗黙のルールだ。
仕事での利用にしろ、読書を楽しむ趣味での利用にしろ、どうしてもどこか周りの目を気にしながらの利用になってしまっている側面は、自分の中でも否めない。
だが、欧州ではカフェ利用における”枠”というのは、存在しないとオーナーさんは話してくれた。
「ロンドンではフレックスのシステムもあり、大体の日本の働き方のように、就業時間やランチの時間などが固着化されているわけではないため、カフェ利用の目的も時間に応じて決まってくるなどの縛りが少ないといえます。いい意味で枠やルールがなくて、ブランチメニューなどのクオリティにはこだわっていても、カフェ全体の雰囲気は、フードコートみたいに緩くて、公益性が高いイメージですね。欧米のカフェ文化を強要するつもりはないのですが、日本でもそんな風に、カフェをもっと自由に楽しんでもらって、他者と同じ時間を共有することで、新鮮な気持ちを感じてもらえたら嬉しいです」(オーナーさん)
またオーナーさんは、イギリスでは定番で、どのカフェでも提供されている”ブランチ”という概念が、今後、日本でももっと浸透していくと考えているという。
「スターバックスが日本に出来始めた時、僕は当時中学生だったのですが、周りのリアクションを思い返すと、まだ日常の中で通うという発想がなかったように思います。ですが、それが今、スタバは私たちのスタンダードになっています。オーストラリアや、メルボルンのカフェでは、日本の和定食のように、ブランチメニューがスタンダードになっており、そういったブランチのカフェコンテンツは他の国でも定番化されている背景もあり、大分でも『AESTHETIC.』を通して、新たな文化に触れる楽しさを提供できればと思っています」(オーナーさん)
欧州のカフェとブランチ文化をこよなく愛するオーナーさんは、なんと外国人の友人のツテで、ロンドンのカフェで研修をした経験もある、まさに本場仕込みだ。
そんなオーナーさんの想いが込められたブランチメニューを早速、いただいてみることにする。注文したのは、私が大好きな食材が使われている「AVOCADO TOAST SALMON」だ。
トーストの上に、アボカド、サーモン、ポーチドエッグがバランスよく乗せられており、さらにその一番上に乗っているのが、「アマランサス」という、シソの仲間であるスーパーフード。アマランサスには、ミネラルやカルシウムが多く含まれ、良質な植物性タンパク質の源でもあるだけでなく、抗酸化物質も豊富だという。
「美味しくておしゃれで、美容と健康にもいいなんて、最高じゃん!」と一気にぶち上がったテンションを抑えつつ、精一杯の澄ました顔で、トーストにナイフを入れた。
一口目に広がったのは、オリーブオイルの軽やかな風味。一口噛むごとに素材の存在感をしっかり感じ、シンプルな味付けなのに、一口一口のインパクトが波紋のように広がっていく。
最初は、サーモン、アボカドの乗った部分を少しずつ楽しんでいたが、スモークサーモンとアボカドを合わせてみると味変にもなり、素材を活かしたシンプルな味付けだからこそ、それぞれの材料が適度に譲り合いながら、互いを輝かせている。

色鮮やかなブルーが特徴的
そして完全に見た目重視で、選んだドリンクが色鮮やかなブルーが印象的な「バタフライピーラテ」だ。以前から、バタフライピーの存在は知っていたが、実は口にするのは今回が初めて。
どんな味なのか、全く想像がつかず、恐る恐る飲んでみる…。
私は、ずんだが好きで、ずんだのスイーツなどを好んで食べるのだが、風味はずんだのようなまろやかさがあり、豆乳のようなコクがあって、非常に飲みやすく、そのギャップに驚いた。
また、バタフライピーにはアントシアニンが豊富に含まれており、抗酸化作用によって、エイジングケアなどにも良いとされる効能が詰まっているそうだ。
先ほどのアマランサス同様、海外では、栄養を摂取することを意識する文化もあるそうで、見た目や味のだけではない楽しみ方で、自然と栄養が摂取できるメニューになっているのが、嬉しいポイントだろう。
ブランチという日本人にとっては新鮮なメニューと空間は、大分にいると安心感を伴いながら、どこか遠くの国に来たかのような非日常の錯覚もさせてくれる。
どんな目的を持った人も、目的がない人も、気兼ねなくゆっくり過ごしてもらえるように、あえて席数も少なめに設定しているとオーナーさんは教えてくれた。
そして『AESTHETIC.』、来てくれるお客さんそれぞれの視野を少し拡げ、非日常を感じながらも落ち着ける場所を目指しているという。
「オープン以降、SNSで『AESTHETIC.』を知り、お越しくださる方だけでなく、60代、70代のご年配の方にもふらっと立ち寄っていただいています。僕がロンドンのカフェで体験したように、みなさんそれぞれ自由に、過ごしてくださっています。店内には韓国のVOGUEや台湾のELLEなど、海外の文化を感じることのできる雑誌も置いているのですが、『AESTHETIC.』が皆さんにとって”ありきたりじゃないカフェ”であるとともに、僕がロンドンのカフェで感じたように、新鮮な気持ちでカフェでの時間の流れを楽しんでもらえたら幸いです」(オーナーさん)
私たち日本人は、無意識のうちに当たり前になっている固着された”枠”の制限の中で生きている。
日本にとってはまだまだ馴染みのない”ブランチ”と、aestheticなカフェが、私たちにとっての「ニュースタンダード」になる日も近いかもしれない。
取材・文=SALLiA
電話:なし
営業時間:10:00〜22:00
定休日:不定
駐車場:なし ※近隣の有料P利用
HP:https://www.instagram.com/aesthetic.sunsunstreet/
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