大分のおいしいネタ、抽出しました。

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今年の寒さも一段と厳しい。キン!という音がしてきそうな寒い日にはコーヒーよりもお茶が飲みたいと思うようになったのは、やはり歳を重ねたせいだろうか?

日本人にとってお茶といえばやはり緑茶のイメージが強いが、今はティーパックで手軽に様々なお茶を楽しめるようになり、その選択肢も増えた。

そんな中で「中国茶」がどんなものかを、私は全く知らない。全国的にも珍しい「中国茶専門店」が別府にあると聞いて、俄然興味が湧いた。

別府駅の高架下を抜けると『お茶の館 茶華本』が見えてくる。

オーナーの首藤さんは本場中国で取得した「茶藝師(ちゃげいし)」、「評茶員(ひょうちゃいん)」の資格を持っている”中国茶のプロ”である。

ちゃげいし?

ひょうちゃいん?

と聞き慣れない言葉に戸惑っている私に、首藤さんは一つ一つ優しく丁寧に教えてくれた。

「茶藝師」とは中国政府が認定する国家職業資格で、主に食品衛生管理や従業員の管理なども含む、接客サービス全般を担当する業務に必要な資格なのだそう。また、茶葉に関する知識や茶にまつわる文化だけでなく、中国茶には美しい淹れ方の所作、芸術的な入れ方にもこだわるのだという。

一方、「評茶員」は中国茶の種類・品質を鑑定する専門職で、こちらも中国の国家資格となっている。

『茶華本』は4年前にオープンし、今では扱う商品の9割が中国茶なのだそうだ。

中国への渡航が厳しくなったコロナ禍をきっかけに九州だけでなく、東海、関西、関東地方や、日本在住のフランス人、ロシア人、アメリカ人のお客さんも来るのだという。

早速、目の前で手際よくお茶を入れてもらった。最初にいただいたのは「シェンサン茶」というお茶。中国茶はお茶によって、用いる茶器も温度も時間も全く違い、多種多様だ。

「一回目、二回目、三回目で、同じお茶なのに匂いや味の濃さなどの印象の違いも含めて楽しんでください」

確かに、そう言われて感覚を研ぎ澄ませてお茶を飲んでみると匂いは一煎目が強く、二煎目は味が濃く、三煎目には苦味が濃く感じた。

同じお茶を繰り返し楽しむ発想は、様々な変遷を含めてその時代の人々や文化によって選択肢を増やしてきた中国の歴史の重みを自然と感じさせる。

中国にはお茶を飲む目的が「健康」と「嗜好」という2種類で完全に分かれているのだそうだ。
自分の感覚を研ぎ澄ませながら飲むお茶は、すでに私の中のお茶の概念を崩しつつある。

体だけでなく、心までほっこり一休みさせる効果が「お茶」にはあるんだったな、と昔、祖母がわざわざお湯を沸かして急須でお茶を出して「ちょっと落ち着きなさい」と言ってくれたことを思い出す。

お茶には人の心に流れる「時間」を緩やかにしてくれる力があるのだ。

続いてのお茶は、日本でもお馴染みの烏龍茶「鉄観音」の「チンシャンウーロン茶」だ。烏龍茶といえばあの黒い色のイメージが強いが、出てきたのは薄茶色のお茶で思わず「え、これ烏龍茶ですか?」と尋ねてしまう。

首藤さんによると重発酵で焙煎を強めに行なう生成の方法だと、あの「真っ黒な烏龍茶」になるのだが、この「チンシャンウーロン茶」は軽い飲み心地で、烏龍茶にフルーティーな匂いがバランスよく混ざっていて、非常に飲みやすい。

烏龍茶は、黒くて当たり前と思っていた私の固定概念が良い意味で崩れ去っていく。固定概念が崩れる瞬間は、つまり「新たな世界が広がる瞬間」でもある。

私は今まさに「黒くない烏龍茶」によって、見聞が広がったのだ。

ちなみに「ウーロン茶」という名前の由来は、茶葉が烏のように黒く、龍のように曲がりくねっているからだとも言われているのだという。今回はつくづく勉強になる回となった。

オーナーの首藤さんは、外国人で初めて中国の闘茶大会で準決勝まで進んだ実績を持つ。

日本代表として中国の闘茶大会に出場した店主・首藤さんの当時の写真

農業をやろうとしていた首藤さんは中国茶に出会い、師事していた人に闘茶大会に出ないか?と言われ出たことが、ターニングポイントになったという。

「たった数秒遅れるだけで、あっという間に苦くなって、美味しくなくなるんです。でもお湯を足したりリカバリーすると逆にその”苦味”が”旨味”に変わるんです。お湯で包んであげる感覚ですね」

首藤さんの淹れてくれるお茶には、確かに人を包み込む優しさがある。
寒さを口実に、またフラッと包まれに行きたい。

店内では中国茶葉も販売

1階はカウンター席、2階はテーブル席になっている

お茶の館 茶華本(ちゃかぽん)
住所:別府市駅前町3-6
電話:0977-26-6577
営業時間:9:30〜12:00/12:00〜19:00(LO18:45)
定休日:木曜
駐車場:共有P利用
HP:https://www.instagram.com/chakapon0977266577/
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大分/お茶/中国茶/健康/癒し/茶葉/テイクアウト/連載

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