大分のおいしいネタ、抽出しました。

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大分のお店が載っている雑誌を何気なくパラパラ見ていたら思わず手が止まった。
ーー「この空間に出逢いたい」、そう思うことは人生で早々ない。

私たち命は常に「空間」に身を置いているが、だからこそ「居心地」の良い悪いには敏感になってしまう。

特にコロナ禍以来、家以外に居心地の良い場所を見つけるのはとても難しくなり、私の出不精具合はひどくなる一方だった。そんな私が久々に心ときめいてしまった場所、それが南大分にあるフラワーショップ『森花moca』だ。

優しい木目調のドアを開くと、打ちっぱなしのコンクリートの壁の中に、自然の緑と色とりどりの花たちが並ぶ独特の世界が広がっていた。

森花は、生花、プリザーブドフラワー、ドライフラワーと幅広くを取り扱っているという。ここ数年で一気にドライフラワーの需要が増え、全国的にも大分は特にドライフラワーの需要が多いのだそうだ。

一概に花屋といっても、生花のみを取り扱うお店は瑞々しい命の匂いがするが、『森花』はお店の名前のように「森」の匂いがすると感じた。

「森」というのは、色々な命たちがその時間の経過と共に姿を変え、同じ空間でそれぞれが生きている場所であると私は思うが、森花はまさにそんな空間だった。
代表の山口邦彦さんは「今がタイミングだ」と思い立ち、昨年6月にお店を立ち上げ、冠婚葬祭を始め、さまざまな人生の瞬間に彩を添えている。

実は引っ越しと共に、ドライフラワースワッグとお別れしていた私。ミニマリストというのもあり断捨離しすぎて、閑散としている私の部屋を彩って欲しいという無茶振りに、嫌な顔一つせず「どんな色が好きですか?」と聞いてくれる山口さん。

髪の毛はピンクでメイクも派手目な私だが、淡いくすんだピンクや紫が好きだと伝えると目の前でテキパキと花たちが束ねられていく。私の目には山口さんが、魔法使いに見えていた。

花を加工する技術が進んで、花を選ぶ選択肢が増えたということは「想い」を表現する選択肢も増えたことと同義といえるかもしれない。
生花は2、3日の短い命だが、それゆえの咲き誇る美しさがあるし、ブリザーブドフラワーは命でありながらも固着されたミステリアスな美しさがある。

そしてドライフラワーには、確かに命だった時間の変遷を感じさせる退廃美のようなものがある。

花は長らく、”枯れたら終わり”という概念だったが、ドライフラワーは枯れた後にこそ違う美しさを放つことができ、その概念を変えた。そんな姿に私はどこか「希望」を感じて、ドライフラワーが好きになったのだ。

生まれてから枯れるまで、ずっと「花」でいることができる。時間が変わっても、変わらない本質がそこにある気がした。


花束の起源は1300〜1600年代にはヨーロッパでアレンジメントが広まったことにあり、日本でも源氏物語では男女が愛の告白を行う時に「花を贈る」シーンが描かれている。

想いを花にして、その人の「空間」と共に生きたいという想いは、歴史も時間も文化も全て超えて、万国共通なのだ。

そうして出来上がった二つの花束は、世界に一つだけの、私のためだけに作られた花束だ。ドライフラワーとプリザーブドがミックスされた花束らしい。嬉しくなって顔がつい緩んでしまう。マスクをしていて今だけは本当によかったと思う。

宝物のように大切に持ち帰る途中で、この花束に合う花瓶を買って帰りたくなった。きっとこの時買った花瓶を見るたびに、私は今日のことをずっと思い出せる。

タイミングと出会いに感謝できる瞬間に、思い出というのはできるのかもしれない。
そうして家に戻って一つは花瓶に、一つはスワッグとして飾った瞬間、とても驚いた。

山口さんは私の家を透視でもしていたのか?というぐらい、ハマりすぎていたからである。

在宅ワークをすることも多い私にとっては、家はこの世で一番大切な「空間」であるが、そこに一つ、森の中の花のように新たな「彩り」が生まれた。

この花たちと同じ空間で、命としての時間の変遷を楽しんでいこうじゃないか。

森花moca(モカ)
住所:大分市二又町3-2-63 TONEビル1F
電話:097-511-9300
営業時間:10:00〜18:00
定休日:火曜
駐車場:2台
HP:https://www.instagram.com/moca.923/
<キーワード>
大分/パワースポット/花屋/ドライフラワー/癒やし/リフレッシュ

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