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アジア横断を機に自らと向き合い
シャッターを切った先に見たもの

数枚の写真に見ることができたのは、何気ない日常とその奥にある豊かさ。例えば2011年から2012年のアジアひとり旅の記録を残した中の1枚に写されていたのは、飾らず気負いのない表情の母と子の姿。さらに伝統の儀式を守る氏子がどぶろくを醸す「どぶろく祭り」では、杵築のまちに1300年以上に渡り受け継がれる祭りの様子が、伝統を継承する人々の想いとともに切り取られていました。

江口さんが撮影した「どぶろく祭り」

「私は人が何かをしているところを撮るのが好きで。大田の人って良い表情をするんですよ」。そう話すのは大分県の北部、国東半島の中央に位置する人口約1000人の大田地域に、スタジオ『つばめボックス』を構えるフォトグラファーの江口まなみさん。杵築市の中心部で生まれ育ち、18歳で福岡県に進学した彼女は高校時代、所属していた新聞部で触れたカメラをきっかけに、漠然と将来の輪郭を描くようになったと話します。

「写真に関わる仕事を想像しようにも、当時の私が唯一思いついたのはカメラマンか、卒業アルバムをつくる人くらい。だけどカメラ1本を職業にする、という選択は10代の私にはしっくりとこず、編集全体を学べる福岡の専門学校に進学することにしました」。けれど心の奥にあったのは、あれもない、これもない。早くこの場所を出たいという自らのルーツ、地元に対するコンプレックス。
そして専門学校卒業後は、現地の編集プロダクションに就職。3年後には拠点を移すべくカバンひとつで上京して広告代理店に勤める傍ら、趣味として写真も撮り続けていました。忙しい毎日を送りながらも、生活圏の中に必要なものすべてが集約された都会での暮らしを満喫。気になる映画のレイトショーも美術館も、何もかもがすぐに近くにある環境を楽しんでいたと話します。そんな東京での暮らしが3年をたとうとしていたとき、ある想いが江口さんの中で湧き上がったそう。それは学生時代から密かに憧れていた海外に行くという夢。

「行き当たりばったりの性格なので大きな理由はなくて。だけど東日本大震災の影響なども転機となったと思います。やりたいことをしなきゃ。写真を撮りに行かなくちゃって。マレーシアに向かいました」。26歳の江口さんが旅先を決めた理由は至ってシンプル。航空券が安かったから。手元の資金から旅の期限を大まかに半年と設定し、アジアを横断しながらユーラシア大陸の西の果て・ポルトガルを目指して出発しました(結果、インドで旅はピリオド)。そしてこの経験が、江口さんをUターンへと導くことになるのです。

“ない”ことに不満を募らせた10代
大人になった今、その環境が心地いい


アジア旅の過程で気がついたのは、田舎よりも都会が肌に合うと考え、その暮らしを実現させてきたにも関わらず、旅先で自らが望んだ景色は観光地ではなかったという事実でした。よりその国の生活に密着した場所を求め、たどり着いたのは“普通のまち”。スーパーがあり、当たり前にその地の人々が暮らしを営む場所。そしてその風景の先に得たもの。それは故郷である杵築もこの場所と何ら変わらない、という気づきだったと話します。

「海外の方なんかは、温泉を目的に別府に来ても、宿泊先は日出・杵築を選ぶ人がいるんですが、それに似た感覚なのかなと。杵築も別府も大分もある意味、私が過ごしたタイと同じ。都会や観光地ばかりではない、その土地土地に魅力があることに気がつきはじめたころ、じゃあ地元に戻っても良いんじゃない?と思うようなりました。田舎はいつまでも田舎だし、都会は都会。だから自分が育ったまちを、不便だからといって嫌いになるのは違うのかなって。変わらないことに対しては、好きも嫌いもないのだと感じました」。

そして約10年ぶりとなる故郷での暮らしがスタート。

住まいは杵築市内、仕事は大田地域に本社を置くインバウンド専門の旅行会社に縁あって就職することに。大田地域は2005年に大田村と杵築市および速見郡山香町が合併し新たな市制の始まりに伴い杵築市となったため、江口さんにとってはあまり馴染みのない場所。「こどもの頃は出掛ける機会がなかったですね。でも実際に過ごしていて感じるのは、小さな地域なのにおもしろいなということ。長く続く祭りもたくさんありますし、自然でいうと7月の時期の緑の山々がとても良い。それから住民の皆さんの地元愛もすごいと思います。私がこんなことを言うのは矛盾していますが、何もないところが好き。歳を重ねると見える景色が変わるので、県外に出られている方は帰る機会を一度つくってみると良いかもしれません。大田地域には意外と移住者の方も多いですよ」。

この日、江口さんとお会いしたカフェ『まめのもんや』を営むご夫婦も、実は杵築市大田地域にやってきた移住者ということ。ご主人の村上淳也さんは三重県出身、大分市が地元となるしのぶさんはJターンとなるそうで、このような繋がりも江口さんは心強いと語ります。

2021年にはフリーランスとなり、「つばめボックス」を設立。振り返れば高校時代からアジアを放浪した日々まで、いつも江口さんの隣にあったのはカメラでした。「安定していると思っていた会社員でも、急に状況が変わってしまうことがある。そう実感したのがあのコロナ禍。人生さえも止まったかのような感覚を受けました。そんなときに知人に写真を褒めてもらえる機会があり、この道で生きようと覚悟を決めて今に至ります」。

屋号に登場する“つばめ”は春になると日本にやって来て子育てをし、秋になると再び別の場所へ飛び立つ渡り鳥。季節や海を越えて旅をするその鳥のように、点と点を、縁と縁を繋ぐ人でありたいと願う江口さんのUターン。

田舎という場所に不満を募らせた10代。そして今、この環境にこそ豊かさを覚えている不思議。目に映る景色はたとえ同じでも、自らの経験値が変われば、受け止め方は大きく変わります。

<移住者メモ>

お名前 江口まなみさん
出身地 大分県杵築市
前住所 東京都
現住所 大分県杵築市大田地域
年齢 40代
つばめボックス
住所:杵築市大田沓掛10 旧田原小学校2F
電話:080-8840-4769
メール:manami71eguchi@tsubamebox.com

大分県では、20・30代の皆さんに向けて、無料でITスキルの習得やFP(ファイナンシャルプランナー)資格取得のサポート、伴走型の転職支援を行っています。
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江口さんに聞いた、杵築市のおすすめスポット

①まめのもんや

しのぶさんと淳也さんの2人が、いつ訪ねても優しく迎えてくれます。地域にぴったりの場所だと個人的には感じていて、カウンターでおしゃべりをしながら楽しむコーヒーやデザートが大好き。私のスタジオの裏にタケノコが採れる山があり、春はお裾分けをしたり。そういったお付き合いができるのも嬉しいです。

まめのもんや
住所:杵築市大田小野244
電話:090-7396-9339
営業時間:11:30〜LO16:00
定休日:月〜水曜 ※営業時間・定休日は過去のインスタグラムの投稿より確認を
HP:https://www.instagram.com/mamenomonya

②清水寺(せいすいじ)
私がスタジオを構える「旧 田原小学校」の近くにあり、境内に湧くおいしい水を汲むことができます。この場所だけときが止まったかのような静けさがあり、初めて訪ねたときは神聖な空気にびっくり。Uターン前はこんな素晴らしい場所があるなんて知りませんでした。

清水寺(せいすいじ)
住所:杵築市大田沓掛1364
電話:0978-63-0100(杵築市観光協会)
HP:https://www.visit-oita.jp/spots/detail/5640

③ 森の駅 かしのき山

長く林業に従事してきた福田大吉さんが有志の方々と一緒に、現在も整備を続ける“かしのき山”。こどもたちに山や森の楽しさを伝え、誰もが遊べる場所にしようと奮闘する大吉さんのキラキラとした姿を見るのが私は好きです。山の中をぐるりとまわるルートを開拓するなど、この場所の今後がとても楽しみですね。

森の駅 かしのき山
住所:杵築市大田永松2117
問:090-3078-3805(福田)
<キーワード>
大分県/杵築/移住/田舎移住/おおいた暮らし/自然/フォトグラファー/写真

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