まとめ記事・動画
大分県には、全国各地から様々な移住者の方が集まっています。
この連載記事では、それぞれの移住のきっかけや、今の暮らし、移住してよかったこと・こまったこと、今後のビジョン、住んでいる各市町村の支援情報など、移住者のリアルを取材していきます。
運営:大分県
制作:おおいたインフォメーションハウス株式会社
「大分(だいぶ)、変わる おおいた移住・・Dive to Change・・」とは?
…Learn more
<移住者メモ>
お名前 | 川本椋介さん 美佑さん |
出身地・前住所 | 山口県出身(椋介さん) 広島県出身(美佑さん) ※前住所は共に京都府 |
現住所 | 大分県由布市 |
年齢 | 29歳 |
家族構成 | 椋介さん 美佑さん |
職業 | 喫茶 間(あわい) |
インスタグラム | https://www.instagram.com/kissa.awai |
国内でも有数の観光地として年間400万人もの観光客が訪れる大分県由布市。芽吹きの季節を誘う野焼きの炎が大地を包み込む春に、黒い大地と化した草原に多様な植物が姿を見せる初夏など、地域は豊かな自然と豊富な湯量を兼ね備えることでも知られています。そんな魅力溢れる土地に2025年、京都からやって来たのが川本椋介さん、美佑さんご夫婦。自らの店『喫茶 間(あわい)』をオープンさせたお2人に話を聞きました。
この記事の目次
漠然と描いていた独立という夢
輪郭が見えたらその先は走るのみ
-移住先を湯布院に決めたきっかけを教えてください。
椋介さん:僕の出身は山口県なのですが、実は祖父母が大分市内に暮らしていて。幼い頃から帰省をした際は、家族でよく湯布院に出掛けていました。その頃と比べると街並みは変わってはいますが、そんな中でも続いているお店や、変わらない通りが今でもあり、自分もこの土地に長く続くような喫茶店を構えたいと思いました。今、お店に来てくれている子ども達が大人になってもこの場所があり続け、思い出の中の原風景の一部になれたらうれしく思います。2人でもよく一緒に湯布院に旅行したよね。
美佑さん:そうだね。でも当時はあくまでも観光地という印象。だけど穏やかな印象は受けていて、それなのに旅先としてしっかりと整えてられている感じがするというか。でも、私はまさか暮らすことになるとは思っていなくて。
椋介さん:実は無理やりだったりします(笑)。
美佑さん: 19歳の頃から一緒にいるので、彼は何を言ってもやるだろうなって(笑)。でもやりたいことがあるのは素敵なことなので。
-19歳からのお付き合いということは、すでに10年。お若いので結婚時期や、お付き合いされていた頃から移住、起業の話はされていたのかなど気になります。
椋介さん:結婚は2021年になります。でも具体的な起業の話を2人の間でしたのはここ2〜3年。30歳までに起業をしたいと考えつつ、方向性は決まっていませんでした。ですが湯布院への旅行を重ねる中で、2022年頃から町内の旅館を営むご夫婦と親しくなり、だんだんと趣味のコーヒーの話をするようになって。そこから喫茶という答えにたどり着いたと思います。そしてお店を構える場所を考えたときに、やっぱり湯布院かなと。そこまで決めたところで、じゃあコーヒーの修業をするなら日本の観光地=京都だろうと思い、1年半の経験を積んだあとにその足で湯布院に移住しました。
-2025年3月1日に移住されて、喫茶のオープンが同月の31日。かなりのスピード感だと思います。
椋介さん:そこは僕自身が“30歳まで”という、起業のリミットを決めていたからですかね。今の年齢なら失敗しても大丈夫だろうと。だからバタバタであっても、何とか夢をカタチにしようと動いたところはあります。でも、喫茶の内装工事の準備は物件を押さえた2024年12月から始めていたので、3月1日にはすでに工事は済んでいました。仕事が休みのたびに京都から車で片道8時間という道のりを運転し、湯布院で打ち合わせをしていたので、大変でしたが、そこはやり遂げました。というか、せざるを得ませんでした(笑)。
-椋介さんから喫茶店を湯布院で開業する、と打ち明けられたときの美佑さんの感想は?
美佑さん: 彼は珈琲専門なので、喫茶店を開業すると聞いたとき、お店で出すスイーツは誰が作るのって思いました(笑)。そこから私も、メニュー化に向けて試作を重ねました。大変だったのは思い描く味をすぐには再現できなかったこと。さらに彼が理想とする味があるので、例えばプリンなら“カラメルの色をもっと濃くして”と言われて(笑)。でも逆に私はコーヒーがあまり得意ではないので、それでも美味しいと感じられる一杯であるか?という視点から焙煎具合に意見することもあって。お互いに補い合いながらですね。
-屋号の『間(あわい)』も印象的ですね。
椋介さん:店名を考えた時、間(あいだ)という字は古語で“あわい”と読むことを知って。言葉の意味としては、物と物がちょうど重なったところ、交わったところを指します。自分達も日常と非日常が重なるような、そんな空間を喫茶としてつくりたかったので「間(あわい)」と決めました。店の窓からのぞく景色も、今ここに立つ僕ら夫婦の姿も日常。でも店内のしつらえは非日常だし、数分歩いた湯布院の街並みも非日常じゃないですか。そこのバランスというか、ちょうど間を感じてもらえるようなイメージを目指しました。
美佑さん:私達っておしゃれなカフェに入ると緊張しちゃうんです。だからおじいちゃん、おばあちゃんがコーヒーを淹れているような場所にしたいと思いました。喫茶店なら歳を重ねた自分達がしていても違和感がないですし。
椋介さん:うちの店は自分達が歳をとってからがスタートです!
美佑さん:だから今の自分達にはちょっと背伸びをした、シックな内装になっていると思います。でも、いつかそこに追いついていきたい。願いというか、そういう思いを持っています。
華やかな土地に併存する住民の暮らし
“生活観光地”には楽しさや驚きが多数
-湯布院での暮らしはどうですか?
美佑さん:湯布院はすごく暮らしやすいです。地域の方も優しく、私達が必死になっている姿をいつも誰かが見てくれていて、手を差し伸べてもらっています。喫茶のオープンから2〜3週間だったにも関わらず、その間に何度か足を運んでくれる地元の方もいて。最初は新規のお客様が入れ替わり来られるのかと思っていたので驚きました。
椋介さん:主要道路から外れた場所に店があるのも、地域の方が気にかけてくれる理由かもしれません。僕らの店の営業は8〜20時。湯布院では大体の店が朝の9時からスタートし、17時には閉まってしまうので地元のニーズに合っているところも大きいと思います。また、彼女の言う通り人柄が温かいですね。郵便局や市役所の方も優しく、ただ業務を行うだけ、手続きをする場所として機能しているのではなく、地域の生活を守るために職員の皆さんが住民の方々の顔を覚えていてすごいと思いました。
-移住後の生活で良かったこと、大変だったことは?
椋介さん:僕は京都での生活がとても便利だったので、ストレスを感じるかな?と思っていたのですが意外と大変だと思うことはなくて。スーパーの品揃えも豊富だし、生活に必要な店は揃っていると思います。
美佑さん:あと大分県には山海がある。ここからなら、少し走ればやまなみハイウェイもすぐだし。
椋介さん:色々と丁度良いよね。ここで落ち着いた暮らしをして、休みの日は大分市内に出掛けて。もうちょっと都会に行きたいときは福岡に行けばいい。まだ移住から間もないので慌ただしいですが、もう少し時間が経てばゆとりのある暮らしができると思っています。
美佑さん:困ったのは想像以上に湯布院が寒かったこと!
椋介さん:確かに(笑)。あと、これは驚いたことですが、湯布院は朝6時と昼の12時にチャイムが鳴るんです農業をされている方への合図として鳴らしていたものが続いているのか…不思議な文化ですよね。
喫茶の本番は歳を重ねてから
2世代、3世代に渡って愛される店へ
-今後の夢を教えてください。
椋介さん:この場所で変わらずにあり続けること。自分達の夢は歳をとってから始まるので、そこまでなんとかしのいで頑張っていきたい。今、店には小さな子どもさんや赤ちゃん連れのお客様も来てくれているのですが、その子達が大きくなっていつかまたうちの店に来てくれることがあれば思い描いた店になるのかな。それが最終目標ですね。
美佑さん:私は現状維持。自分達が最低限生活をしていける範囲でこの場所で目立たず、ひっそりと。細く長く続けていくことが理想です。
-移住を考えている方にメッセージをお願いします。
椋介さん:若ければ何度でもやり直すことができると思っています。そのまちが気に入らなければ変えればいい。大分県は地域ごとの特色が豊かだと思っていて、例えば竹田市ならアートが盛んであるとか。結果によっては県内から県内へ住まいを移す、という選択もアリなんじゃないかな。今の時代選択肢はたくさんあると思いますので。
美佑さん:大分県は移住にまつわるサポート体制が整っていると思います。
-何か制度は利用されましたか?
椋介さん:由布市の創業支援補助金を利用させていただきました。情報を仕入れるためには移住関連のまとめサイトを活用するほか、その土地の商工会へ足を運ぶのが良いと思います。
-実際に情報を求めてどのような行動をされましたか?
椋介さん:まず初めに商工会を訪ねました。喫茶店を開くということだけを決め、どうすれば良いですか?って。すると対応してくださった方がとても良い方で、お金の工面の方法などさまざまなアテンドをしていただきました。
-事前に準備しておくと良いことはありますか。
椋介さん:できたら現地に知り合いがいた方が良いですね。特に田舎はその影響は大きいと思います。例えば移住を考えたとき、多くの人が家探しをすると思いますが、実は物件はネットで公開されているものだけではなく、現地の人だけが知っている情報があったりします。だから少しでも繋がりを築けていた方が心強いかな。もしも湯布院を選択肢として考えているのなら、ぜひ僕らのお店にお越しいただければ、小さいながらも力になれることがあるかもしれません。
美佑さん:アドバイスができるよね。助けになれると思います。
椋介さん:そういう側面もある喫茶になれたら嬉しいね。僕らが移住時に支えてもらったように、今度は僕らがその番になれたらと思います。
電話:なし
営業時間:8:00〜20:00、水曜〜17:00
定休日:木曜
駐車場:なし
HP:https://www.instagram.com/kissa.awai/
川本さんに聞いた、由布市のおすすめ3スポット
① 由布岳
言わずと知れた、由布市のシンボル。近所のおばあちゃんから「困ったときや、誰かの文句を言う隙があったら由布岳を見なさい」、と言われた印象深いスポットでもあります。由布岳が目の前にそびえる、正面登山口からの景色もおすすめです。
② ゆふいん花の木通り商店街
昔ながらの商店街で、地域に根ざしたお肉屋さんやパン屋さん、酒店が並びます。メイン通りに比べると地元の方が多い印象ですが、素敵なお店が多い大好きなスポットです。
③ 宇奈岐日女神社(うなぎひめじんじゃ)
古くから地域で親しまれている神社ですが、実は僕がプロポーズをした夫婦の思い出の場所。そのときは辺りに蛍が舞っていました。神秘的な雰囲気と、静寂な空気も好きです。
大分県/由布市/湯布院町/湯布院/移住/喫茶/カフェ
〈大分県への移住に関するお問い合わせ先〉
大分県 おおいた創生推進課
電話:097-506-2038
mail:a10113@pref.oita.lg.jp
受付時間/8:30~17:15( 土・日曜、祝日を除く)
〈大分県 移住公式サイト〉
〈大分県移住イベント特設サイト〉
〈オンライン移住相談窓口を開設しています〉
カテゴリ
TOPICS