OITA Drip.

臼杵市長が認証する「ほんまもん農産物」

野菜が本来持つ甘く、濃い味わいの「ほんまもん農産物」。ふるさと納税でも人気

ほんまもん農産物とは
「ほんまもん農産物」とは完熟堆肥で土づくりを行い、化学肥料や化学合成農薬を使わずに栽培した農産物のこと。臼杵市長認証の「ほ」の字が入った金シールが目印。

海と山が近く、自然に囲まれ、歴史と文化を感じる町・臼杵市。大分市に隣接する人口約４万人のこの町に、現在１０００人を超える移住者が住む。

そんな移住者のなかでも有機農業を学び、有機農家を目指す若者たちが注目を集めている。彼らが師事するのがほんまもん農産物の定期便サービス「うすき未来の食卓」代表であり、臼杵市ほんまもん農産物推進ネットワーク会長も務める藤嶋祐美（ひろみ）さんだ。

県外から移住してきた地域おこし協力隊のメンバーに、有機農業を教える藤嶋祐美さん

若い頃東京で働いていた藤嶋さんは、１９８０年代後半臼杵に戻ってきた際に、自分が子どものころと比べ魚や鳥、生き物が少なくなったと感じたと言う。

原因は農薬かも、と気づき有機農業に取り組むきっかけになった。そこから生まれたのが、完熟堆肥で土づくりを行い、化学肥料や化学合成農薬を使わずに栽培した農産物「ほんまもん農産物」だ。

農家は土づくりのため市内にある『臼杵市土づくりセンター』で製造された完熟堆肥「うすき夢堆肥」を使い、「健全な農産物は健全な土から」という考えのもと、よく発酵した良質な堆肥で行う土づくり。ミネラル豊富で健康な土が美味しく元気な野菜を育てるのだ。

嫌なにおいがない上に、自然の土に近く、生き物の生育障害のない安全な堆肥は、年間１６００トン以上製造され、臼杵の有機農業推進の要となっている。

夢に向けて一歩一歩。有機農業で自然を取り戻す

「ほんまもん農産物の販売がスタートした約10年前、購入者の反応は、まず“（値段が）高い！”の一言でした。その頃と比べると今は随分認知されてきて、値段のことを言われることはあまりなくなってきましたね」と藤嶋さんは笑う。

臼杵のように、行政と生産者が一体となって有機農業に取り組むスタイルは全国的に見ても珍しい。地域おこし協力隊として有機農業を学べるのも臼杵市ならではだ。これらの取り組みが市報やケーブテレビなどでも積極的に取り上げられることで市民にも「有機農業がひとつの農業の形なんだ」と認知されてきた。まさに双方の努力のたまものともいえる。

また、臼杵市では子どもたちに安全で美味しい野菜を提供しようと、市内の小中学校の給食にも地元の旬の農産物を使う「給食畑の野菜」という取り組みも行う。現在約50戸の農家の協力を得て、給食に使う野菜の約40％を地元産のものでまかなっているという。自分たちが住む町や農業、地産地消について子どもたちの理解が深まるのも大きなメリットだ。

「有機の里づくり」で人も町も元気に！