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それぞれの目的を持って同じ場所に集う『コモールカフェ』【SALLiA’s リトリート第35回】
リモートワークが普及したコロナ禍を経て、コロナ禍以前の働き方に戻る人や、そのままリモートワークを取り入れながら働く人など、働き方に関する価値観はここ数年で、ガラリと変わっただろう。
”働き方の多様化”に伴い、働く居場所の選択肢へのニーズも自ずと高まっているが、そんな多種多様な働き方のニーズに応える場所が、別府にある。
2019年12月にオープンしたコワーキングスペース&レンタルスペース『コモールカフェ』だ。
コロナ禍以前、私が東京に住んでいた頃は、コワーキングスペースというものが少しずつ存在し始めていたように思うが、今現在もニーズは確かにあるはずなのに、大分でコワーキングスペースというものはさほど普及していないように感じる。
さらに別府という土地に限定すると、コワーキングスペースの希少性は高まり、しかもオープンがコロナ禍以前ということで、私は重ねて驚いた。
なぜ、別府にいち早くコワーキングスペースを作ったのか?オーナーの神崎さんに話を伺った。
「元々私は、ホームページやWEBメディアなどのWEB制作の仕事を行っており、コロナ前からテレワークを前提とした働き方をしてました。長年関東で仕事を続けて、19年5月に大分に移住したのですが、関東にいた時から、コワーキングスペースのニーズを感じており、自身でコワーキングスペースをまとめたサイトを運営していたほどで、いずれ自分でコワーキングスペースをやりたいと思っていました」(神崎さん)
また神崎さんご本人が、出張先などでの仕事をする場所の確保の難しさに直面したこともあり、その必要性を実感していたという。
「出張先のホテルだと、就寝スペースと同じ空間ということもあり、仕事のスイッチが入りにくいということや、カフェだと電源タップがないという問題や、Wi-Fiが安定しにくく、オンライン会議もしにくいなど、安心して仕事に集中できる場所がなかなか見つからず、出張中困るということがしばしばありました。別府は観光と仕事を兼ねたワーケーションのニーズも高まっていると感じており、観光しながら仕事も安心してできる場所を作ることで、大分にさまざまな目的を持ってくる方達のニーズに応えられるのでは?と考えたのです」(神崎さん)
そんなニーズが顕在化するかのように、『コモールカフェ』の利用者は、8割が県外の人だという。
働き方の選択肢が広がったことで、自宅とオフィス、ホテルと観光地だけではないサードプレイスとしての役割を担っていることが伺える。
「県内の方でも、他のカフェやコワーキングスペースだとどうしても17時で閉まってしますが、平日は20時まで営業しており、メンバーになっていただくと24時間365日の利用が可能なので、それぞれの働くスケジュールに対応でき、そこにメリットを感じてくださっている利用者さんも多いです。また適度な距離感を保ちながら、他の利用者さんとのコミュニケーションを図れることで、仕事におけるストレスケアとしても良いという声もあります」(神崎さん)
多様な働き方が促進されることは、さまざまなメリットを生むが、同時に個人で完結してしまう働き方も加速し、それに伴い孤立し、他者との触れ合いによってストレスを緩和する機会を逸している側面もあるだろう。
「会員メンバー同士での交流会を行ったり、同じオフィスで別の仕事をそれぞれが行う同僚のような安心感を抱いて位もらえる居場所作りを心がけています。もちろん無理にメンバー同士を繋いだりはしませんが、例えば別府に来て知り合いがいない方の人脈を広げるお手伝いも応えられていると感じます」(神崎さん)
ターゲットを細分化せず、それぞれの”自己実現”と”理想の働き方””を叶える大枠を設定することで、スタートアップや会社設立などの一歩を踏み出す人の後押しにもなっているという。
「法人登記なども行えますし、例えば自宅の住所を知られたくないという方や、オンラインショップを運営する個人事業の方に向けた住所利用や荷物預かりサービスなども行っています。最近だと、就職活動もオンライン化されているところが多く、家で落ち着いて就職活動できないというAPUの学生さんが、就活のために利用されている例などもあり、またポップアップイベントをやりたいという方がいらっしゃったり、この場所にこんなニーズがあったとは!と驚かされることも多々あります」(神崎さん)
利用者はの年代は20〜50代で、職種もさまざまだという。
自分一人では出会えないような人に出会えることも、コワーキングスペースという場所の”らしさ”と”面白さ”といえる。
そんな利用者の自由な発想によって生まれるあ新たなニーズに応えるべく、今新たに神崎さんが注目しているのが「FabLab(ファブラボ)」という文化だ。
ファブラボは、個人による自由なものづくりの可能性を広げるための、デジタル工作工房とそのネットワークを指し、2000年頃に米国ボストンでスタートしたこの運動は、現在世界90カ国1000カ所以上(参照:fablabs.io)に広がっているという。
「3Dプリンターやレーザーカッターなどのものづくり機器を、今後導入し、少数ロットのグッズ制作のサービスなども導入できたらと考えています」(神崎さん)
観光地や出張先は、知らない人が住む、知らない土地であり、それによる刺激や新たな発見はもちろんあるが、その中に「おかえりなさい」「ただいま」を言い合える”働く同志”がいる、家とも職場とも違う場所があることで生まれる安心感は確かにあるだろう。
拠点に縛られない働き方の多様化に加え、さらにそこに、それぞれの”クリエイティビティ”が加わることで、新たな「創造」が生まれていくこと間違いなしだ。
取材・文=SALLiA
電話:050-3717-3731
営業時間:【メンバー】24時間/【ドロップイン】9:00〜20:00(最終受付18:00)/【レンタルスペース】9:00〜23:00
駐車場:近隣P利用(有料)
HP:https://comall.space/comallcafebeppu/
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